今回は、初めての方によくされる「どの位の期間通う必要があるのか」というご質問について、当院での考えを交えてお答えしたいと思います。
当院での基本的な考え方
まずは、ホームページに掲載している内容を抜粋したいと思います。
一般的に急性の症状(ぎっくり腰や寝違え等)の場合、1回から数回の治療で良くなる事が多いですが、症状が長く出ているものや、繰り返し出ている慢性の症状の場合、治療期間が長期に渡る事もございます。それは、その人の体質や、生活環境によって大きく変わってしまいますので、一概に「どのくらいで治ります。」とはお伝えしにくいです 。
一言で言うと「同じ症状でも、人によって違います。」という事です。
例えば同じぎっくり腰でも、
- 普段から腰痛をお持ちの方が定期的になるぎっくり腰
- 普段は腰の症状は全くなく、初めてのぎっくり腰
このふたつは違います。
しかし、このふたつを比較した場合でも、一概にどちらの方が症状が軽いとか、治りやすいかは言い切れません。症状として「ぎっくり腰」は出ていますが、お体の状態はもっと複雑になっている場合もあるからです。
当院で行っているのは「症状・病名に対しての治療」ではありません。
体全体の状態に合わせた治療「随証療法」になります。
随証療法について
多くの患者さんの場合、変動している経絡が複数に渡っています。
ぎっくり腰を例に少し詳しくお話してみます。
- 普段から腰痛持ちの方の場合:腰を巡っている経絡の変動が有り、痛みであったり重さを感じている状態です。ここに更に別の要因が加わる事によって強い痛みとなり、ぎっくり腰の症状が現れます。特に「重い物を持った時に強い痛みが出た。」というような方の場合に多い印象です。
- 普段は腰の症状がない方の場合:結果としてぎっくり腰になっているので、経絡の変動はあります。特によくあるお話は、ずっと緊張をする場面(ストレスの掛かっている状態)が続いていたが一段落して、気が緩んでいた時にふとした動作で急に痛くなった。これまでは気が張っている状態だったので保てていたのが、緩んだ途端に別の要因が加わり痛みとして現れるパターンです。
どちらもあくまで一例ですが、この場合二つ目の方のような変動の場合、経絡の変動の出方は複雑なものになっている傾向が強く、根深いものになっている可能性があります。特に、主観的にはっきりしない不調・不快感などを抱えている方に多いです。
ぎっくり腰の症状が良くなればそれで良いとお考えの方は、痛みがなくなり、日常生活に支障を来さないようになれば、ご自分の判断で治療を終える方もいらっしゃいます。それはそれで良いと思ってます。
専門的に言えば、一経のみの変動で出ている痛みであればすぐに良くなる事もあります。
慢性的な症状でお悩みの方はもちろんですが、今回の例に挙げている「ぎっくり腰」がきっかけで来院された方も、その前兆はもっと前の段階で体が発しているはずなのです。
ここが、鍼灸治療を継続するメリットになります。
鍼灸治療を継続するメリット
定期的に通われていると、いつもの脈の状態を把握出来ているので「あれ、脈の感じがいつもと違うな…」と感じとれる事が出来ます。
治療をしていく過程で「証」が変わり、脈にも変化が出ている場合もあるのですが、外邪に冒される事によって、お体の状態が変わっている事もあります。
外邪が浅いところにある段階でしっかり治療出来れば、症状が強く現れずに済むわけです。
今回の例でいう所の、ぎっくり腰の症状が出る前の段階で防げるわけです。
それでも防ぎ切れずにぎっくり腰の症状が出た場合でも、普段のお体の状態を把握出来ていれば治療方針ははっきりとするので、長引かずに済む事が出来ます。
何より「はっきりとしない不調・不快感」から「なんか調子が良い」と思える体調の変化は、日常生活を送る上で良い方向に作用すると思っています。
継続の判断はお任せしています
基本的には、みなさんの健康に対しての価値観を尊重したいと思っています。
明確に「この症状・お悩みがなくなったらゴール」と思われる方も良いと思います。ただ、定期的に通っていただけるとお体の好調をキープしやすいのではないかと思います。
料金に関しても、継続して利用しやすいものに設定しております。
毎週一回、休まず通い続けて下さいとは言いません。
調子が良ければ間隔を開けていくようにこちらから促す事もございます。
十日に一回、月に一回、季節の変わり目毎に…。
本人に自覚がなくても、脈に変化が出てる時は、間を少し詰めて治療をお願いする時もございますが、判断はみなさんに委ねています。
長い目でみて、みなさんの健康に寄り添っていけたらなと思っております。
どうぞ今後ともよろしくお願い致します。