心の病(うつ病、精神疾患)

心の病

心の病や、精神疾患と聞くと
「うつ病」や「適応障害」「統合失調症」
等をイメージされるかも知れません。
ひと昔前よりはこれらの病名に対して
世間のイメージは寛容になってきてますが
まだまだ理解されないケースもあります。
しかし、心の病と言っても
病名がつくものだけではありません。
そもそも東洋医学には
心身一如という考え方がございます。

心身一如

心と身体はひとつ

些細なストレスでイライラが募り肝木経の変動が出る事もあります。 悲しい出来事があって肺金経の変動が出る事もあります。 思い悩み、考え込む事が続いて脾土経の変動が出る事もあります。 等々… これらは東洋医学的に考えれば自然な事です。

感情は身体に現れる

特にこれまでと変わった事はしていないのに 急に肩が凝るようになった、腰痛が出てきた…。 これらは感情の乱れや精神的な負荷によって 経絡に変動が生じれば十分に起こりうる事です。

心を健やかに

長年悩んでいた症状が犬を飼ったり、新しい趣味を見つけて見違える程良くなった話も実際に私の周りでございます。このような場合心の病が癒されたと考えるのが自然ではないでしょうか?​心の病が癒されれば特別な治療をしなくても体は勝手に良くなります。

うつ病、精神疾患

やる気が出ない

では、冒頭の「うつ病」のように一般的にイメージする心の病についても考えてみます。「気分が落ち込みがちで、何もやる気が起きない。」一時的なものであれば誰しも経験がある事と思います。しかし、それが毎朝同じ状態で長期化すると、途端に心配になりあれこれ調べてしまいます。

ネットで調べて落ち込む

今は何でもネットで調べられる時代です。「うつ病」と検索し症状が複数当てはまると不安は増します。「病院で薬を出されると、止めるのには大変な苦労を伴う。」このような情報も出てくる事でしょう。精神科に行くか思い悩んでいるうちに、ますます不安になり、症状は悪化していく事もあります。

東洋医学の視点

うつ病の主な症状についていくつか挙げたいと思います。抑うつ気分(憂うつ、気分が重い)、疲れているのに眠れない、思考力が落ちる、体がだるい、疲れやすい…等々。ここで注目したい事があります。これらの症状は東洋医学的に考えるとほとんどが脾土経の変動によって起こる症状なのです。

気軽にご相談下さい

これらの症状が出始めた段階なら、薬に一切頼る事無く、東洋医学に基づいた鍼灸治療で十分に対応出来るのです。病院に行くのに抵抗のある方は「東洋医学に基づいた鍼灸治療」という選択肢もある事を知っておいて頂けると幸いです。

心の病で通院されている方へ

メンタル系の薬は飲み始めると止める事が困難な方が多いです。
それどころか副作用に対しての薬が出され、どんどん薬の種類や量が増えてくる事もございます。
減薬どころか一生薬を飲み続けるのかと不安になってきます。
これはどこかで断ち切らなくてはと、考えれば考えるほどメンタルは落ち込む傾向にあります。
どうか焦らないで下さい。
減薬し、最終的には薬を完全に断ち切る必要がありますが焦って頑張りすぎると 逆に負担をかけて離脱症状が出る事もございます。
実際に減薬をする際は通院されている病院で相談しながら慎重に進めていく事が大切です。
三歩進んで二歩下がる位の心の持ちようで減薬していけるのがベストだと考えております。

了承頂けた患者さんの症例を載せます。
減薬をお考えの方は一例として、是非一度目を通してみてください。

精神疾患症例(20代女性)

主なお悩み

  • 精神疾患(PTSD、うつ病、摂食障害)
  • 右頚部から腕、指先にかけてのシビレ
  • 偏頭痛、めまい
  • 睡眠障害
  • 慢性下痢
  • 腰、膝痛・・・等

かなり多岐に渡って症状が出ている方です。
特に精神疾患に関しては10代の頃のトラウマが原因で、現在に至るまで大変苦労をされています。
それぞれの症状に対して病院で薬を処方されています。
日によって違いはあるようですが、一日に飲む薬の量もかなり多いようです。
特に痛み止めに関しては、効く時と効かない時があるが、飲まないと不安だから飲んでいるというような状態でした。

東洋医学的所見

脈はとても沈んでいて遅、虚を表していました。
六部定位で判断するのは難しく、初診の段階では主に腹診・切経に重きを置きました。
病症と、切経、腹診を踏まえて、初回の証は腎脾相剋と診て治療しました。

治療経過

毎回治療後は全体的に体が軽くなる感じがするとおっしゃるのですが、その日の夜や、翌日には症状は戻っているような状態が続いていました。
また、精神的に負担のかかる事(過去のトラウマを連想させるような事や、カウンセリングを受けた後等)があると、特に症状は悪化するようです。

治療に通われるようになってしばらくしたある時、丸一日近く薬を飲んでいない状態で来院された日がありました。 首から腕にかけてのシビレは普段よりも強い状態でしたが、薬を飲んでない状態で診てもらおうと思って下さり、我慢なさったそうです。
脈はいつも通り沈んではいるものの、いつもと違い脈の表面に邪が触れる感覚があり、脈状は沈、やや数、虚。
これまではっきりしなかった陰の脈がしっかりと虚実を分けられる程度には診られる状態になっていました。

普段飲んでいる薬が体に与える影響の強さを再認識出来ました。
鍼灸治療後は、いつもと同じくらいの状態にまで回復したのでその日はお薬を我慢出来そうだったら飲まずに様子見をしてみて下さいとお伝えしました。
その日の夜、再びシビレの症状が強く出たようですが、薬はなんとか我慢出来たようで、翌日いつもより早い時間にいらして頂きました。

その後は普段通りの状態に安定しました。
それ以降、治療に来られる日は極力薬は飲まないようにし、来られない日も無理のない範囲で薬は我慢する方向で進めています。
特に頭痛の予防薬などは極力飲まない方向でお願いしております。

その後、ご本人が自覚している最近の変化は

  • 以前よりも皮膚の状態が整っている。(ガサつき、足裏のタコの減少)
  • 免疫力が上がってきている(風邪を引きにくくなくなった、引いてもすぐ良くなる)
  • 摂食障害の頻度が減っている。

まだまだ症状はたくさんありますし、根本的な回復には時間がかかるものとお伝えし、継続して治療に通ってもらっている段階です。

ご自宅でのセルフケアとして、お灸も継続して行ってもらっています。
概ね良い方向で進んでいる事は間違いなさそうです。

今回の症例についての総括

精神疾患を抱えている患者さんの多くは減薬を望んでいると思います。
しかし、自己判断での減薬は離脱症状が伴う可能性もあるので非常に危険です。
処方されている病院でよく相談しながらの減薬が必要です。

しかし、今回の症例のように鍼灸治療を継続していく中で、自然と薬に頼らなくても何とかなるかも?と思えるタイミングが出てくる可能性がございます。
そのタイミングは一概にどの位でと表すのは難しいものですが、根気強く通って頂いて出たひとつの成果として発表させて頂きました。

※補足

ひとつ誤解されない為に補足しておくと、薬全てが悪という事ではございません。
しかし、本当に体にとって必要な物なのか、常に疑問を抱いて頂けるとお体にかかる負担は変わってきます。
例えば、強い薬によって起こる副作用を抑える為の薬
これは気を付けないと今回の症例の患者さんのように、どんどん薬の量が増えていく傾向があります。
どうしても体にとって必要な薬を摂りつつ、副作用に対しての鍼灸治療を継続していくという選択肢もございます
まずはご相談だけでも結構ですので、お気軽にどうぞ。

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