当院で行う鍼は「やさしい鍼」と銘打っています。
少し具体的にどういう事なのかをまとめてみたいと思います。
やさしい鍼
まずはホームページFAQ書いてある答えを載せます。
A.当院で行う鍼は、深くまで刺す事はありません。刺したとしても、せいぜい3~4ミリ程度です。とはいえ、全く痛みがないか?と聞かれれば「痛みはゼロです!」とは言えません。しかし、想像しているような、注射針のような痛みは決してございません。
簡単に説明するとこういう事になるのですが、鍼灸が全くの初めての方にとってはこれだけだとやっぱり不安ですよね。
様々な鍼灸治療法
鍼灸治療と言っても、実は色々なやり方があります。
一般的にイメージするのは、打った鍼に電気を流すやり方ではないでしょうか?「電気鍼」や「パルス療法」なんて言い方をします。鍼灸接骨院等で主に行われているやり方だと思います。
痛みの出ている筋肉や、凝り固まっている筋肉に電気の刺激を与えてほぐしたり、刺激によって痛みを緩和させるのが主な目的になります。
美容鍼で顔にたくさんの鍼が刺さっている様子を見た事がある方もいらっしゃすのではないでしょうか。
電気は流さなくても、凝りのある部分に届くような深さに刺して、そのままにして10分程度時間をおく「置鍼(ちしん)」もあります。
置鍼は経絡治療でも中医学的な鍼を行う先生でもたくさんいらっしゃいますが
当院では、パルス療法も置鍼もしていません。
というのも、私自身がパルス療法も置鍼も、受けるのが苦手だからです。
鍼を深くまで刺入した際にずーんと来る「響き」と言われる感覚も、気持ち良いと思っていた時期もあったのですが、ある時を境に苦手になってしまい・・・。
自分が受けて不快に思う事を、患者さんにする事は出来ません。
鍼の打ち方
上記に書いた「響き」の感覚の他に鍼治療を受ける上で痛みが感じられる可能性のある時が、鍼を打つ瞬間の皮膚を貫く際に出る痛みです。これを切皮痛と言います。
パルス療法や置鍼を行う際には、大抵の場合は「鍼管」といって、管状の物に鍼が入っているのを、トントンと叩いて鍼を打ちます。
これを「管鍼(かんしん)法」と言います。
鍼管を使わない鍼の仕方で「撚鍼(ねんしん)法」もあります。
韓国ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」等を見られている方はイメージしやすいかと思います。鍼を勢いよくブスっと刺しているのが印象的でしたね。
鍼が上手な先生であれば、管鍼法でも撚鍼法でも全く痛みを感じない事もあります。
しかし、当院では、そもそもトントンと叩きません。
それに勢いよく鍼を刺す事もしません。
鍼管を取り除いた状態で、鍼先をゆっくりと近づけて接触させるので、切皮痛が苦手な方も安心して受けられると思います。
脉診流経絡治療
この鍼の打ち方は、私が独自に生み出したものではありません。
ご縁があり、東洋はり医学会という団体に所属し、現在当院で行っている治療方法「脉診流経絡治療」に落ち着きました。
脉診流経絡治療で行う鍼は、どのような目的(補うのか、瀉するのか)の鍼をするかにもよるのですが、「気を補う鍼」をする時は、ツボの反応を診て、ゆっくりと近づけていき、鍼をゆっくりと接触させたら、そのままたわまないように押し続けて、気が補えたところでサッと抜きます。
そうです、すぐに抜くのです。
鍼の接触の仕方も、古典に書かれている通り「蚊虻の止まるが如く」、つまり蚊が止まる時のように、全く気付かれないようにおこないます。
また、そもそも深く鍼を入れる事を目的としていないので、皮膚内にはほとんど入っていない場合もあります。
まとめ
当院での鍼の打ち方についてお話しました。
トントンと叩いて鍼をする事はせず、深くまで鍼を入れる事もしません。
優しく接触させて、さっと抜き去ります。
鍼の響きの感覚が好きな方にとっては物足りない打ち方になるかも知れません。しかし、脈は変化し、お体全体に影響を与えます。
それでもどうしても怖い、抵抗があるという方には、全く刺さらない「てい鍼」での治療も出来ますので、お気軽にご相談下さい。